研究課題/領域番号 |
13450024
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
笹木 敬司 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (00183822)
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研究分担者 |
堀田 純一 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80301919)
竹内 繁樹 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (80321959)
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キーワード | ナノ微粒子 / 放射圧 / レーザーマニピュレーション / 光散乱 / 過度吸収 / ナノメートル位置検出 / ポテンシャル計測 |
研究概要 |
本研究では、単一ナノ構造体における光物理現象を高感度・高精度に解析することを目的とし、レーザー光の放射圧を利用した新しいダイナミック吸収分光計測法を開発した。本手法は、ナノ構造体にレーザー光を照射すると構造体の屈折率、吸収係数(複素屈折率)に依存して放射圧が発生することを利用したものである。すなわち、吸収を光強度の変化としてではなく、吸収に伴って発生する光の力に変換して計測するという全く新しいアイデアに基づく。従って、散乱、迷光等のバツクグランドの影響がなく、吸収に比例した観測値を高感度に得ることが可能である。放射圧の測定法としては、ナノ構造体のブラウン運動を直接観測して統計熱力学的な方法により微粒子に作用する力を解析する技術を用いた。本技術によりフェムトニュートンオーダーの放射圧が観測でき、吸収断面積が数平方オングストローム程度の構造体の測定が理論的に実現できる。本年度は、半導体励起Nd : YAGレーザーを調整光学系を通して光学顕微鏡に導きナノ構造体に集光して捕捉するとともに、波長可変パルスレーザーを微小構造体に照射して吸収による放射圧を発生させるシステムを用いて、熱的ランダム過程をコンピュータで統計力学的に解析してポテンシャルを計算し、放射圧の3次元ベクトル分布を求めてナノ構造体の吸収と屈折率を推定することを可能にした。実験的研究としては、粒径や屈折率が既知な高分子ラテックスに色素をドープした試料の解析を行い、理論と比較して感度、精度、時間分解能等について考察した次に、表面プラズモン励起状態の熱的緩和にナノサイズ効果が現れると期待されている金や銀のコロイド、について単一微粒子の吸収分光を行い、ナノ空間における電子やエキシトン、フォノンの振る舞いを明らかにすることを試みた。
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