研究概要 |
大口径光伝導アンテナにフェムト秒光パルスを照射することにより得られる,大出力テラヘルツ電磁パルスを用いて,テラヘルツの周波数領域における,1秒あたり1000こまの高速撮影を実現するための研究を,2年の計画でおこなっている。今年度はその1年目であり,現在までに,通常のCCD装置を用いて,テラヘルツ電磁波強度の空間分布の撮影に成功した。今後,検出器を1秒あたり1000こままで撮影できる高速CCDに代えることで,高速撮影が可能となる。 特に,集光したテラヘルツ電磁波の強度の空間分布を測定した結果,以下のことが分かった。1)焦点面におけるテラヘルツ電磁波の強度分布は,ある時刻に最大値を取り,そのときの分布は,中心が強い単純な形である。それに対して,正負にいくらかずれた時刻において,ドーナツ型の強度分布が見られる。2)焦点面から外れた面において,ピークに対応する時刻における強度分布を見ると,焦点面における時間変化と同様に,ある位置でドーナツ型の分布が見られる。 これらの結果は,回折積分によるシミュレーションによって再現した。そのために,コンピューター・プログラムを新たに開発し,様々な時間・空間波形のシミュレーションができるようになった。テラヘルツ電磁パルスは,非常に広いスペクトル成分を持っており,そのそれぞれがガウスビームとして伝搬すると考えることにより,これらの結果をおおよそ説明することができた。
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