研究概要 |
本研究は,空間的な広がりを持つ光源の輝度分布と位相分布を各点ごとに独立に空間変調することにより光波の伝搬軸方向の波動場の空間的コヒーレンスの3次元構造を自由に制御する技術を開発し,それにより,「光波の伝搬軸方向に所望の距離へだてた特定の2平面上の光波動場の間に選択的に高い空間的コヒーレンスを生じさせる」という新しい原理に基づく空間コヒーレンス制御断層映像法を提案し,その有効性を理論と実験により検証することを目的とする.この目的を達成するために本年度は昨年度に継続して以下の事項を実施した. 1.所望の3次元空間コヒーレンス構造を生成させる光源の空間分布の設計と,そのための光設計論的視点に立った3次元空間コヒーレンス理論を構築した.咋年度までのフーリエ光学に基づいた解析に代わるものとして,3次元空間内の任意観測点において高い空間コヒーレンスを生成するための光源形状を見通しよく直感的に決定できる新しい干渉縞形成の物理モデルを構築した. 2.空間コヒーレンスを制御して被測定物体までの距離と物体表面の局所的勾配を同時検出するための原理を考案し,実証のためのシステムを構築し原理の有効性を確認した. 3.空間光変調器を用いて任意の空間的コヒーレンス状態を生成するとともに,同じ空間光変調器を用いて機械的可動部なしに位相シフトを実現する原理を考案し実験によりその正しさを実証するとともに,原理の有効性の範囲を明らかにした. 4.上記の3次元空間コヒーレンス構造の選択的形成技術を用い,既知の基準ブロックゲージを被測定物体とした3次元形状計測の実証実験を行い提案した方法の有用性を確認した.
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