研究課題/領域番号 |
13450030
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井上 康志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60294047)
|
研究分担者 |
杉浦 忠男 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教授 (60304010)
SEKKAT Zouheir 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80314376)
中村 収 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90192674)
|
キーワード | 原子光学 / 磁気光学トラップ / ナノテクノロジー / レーザー冷却 / 量子細線 / 遷移金属 / 光制御パターニング / 光の勾配力 |
研究概要 |
ナノ空間においてクロム原子を制御・操作する技術の確立を図るため、現有の超高真空チャンバーの改造を行った。とくに、蒸発温度の高いクロム原子の気体を効率よく取り出せる原子源を新に導入した。クヌーセンセルを採用し、温度制御の最適化を図ったことで、原子ビーム流の安定化を図ることができた。また、真空チャンバー内に、半導体レーザーの第2高調波(λ=425.5nm:クロム原子の共鳴周波数に相当)を導入し、レーザー冷却によるクロム原子ビームのコリメーションを行い、原子ビームの発散角を0.2mrad以下に押えることができた。コリメートされたクロム原子ビームに対し、対向レーザービームの干渉パターンによる光強度ポテンシャルを与え、クロム原子による1次元周期構造を作製した。作製したナノ構造体の全治半幅は150nm、高さは6nmで、周期はレーザー光の半波長212.78nmであった。 つづいて、磁気光学トラップを効率的に行うために、原子ビームの予備冷却法の検討を行った。熱蒸発させたクロム原子に対して、ゼーマン効果を利用することで光の散乱力を連続的に働かせるゼーマン冷却法が効果的であると判断し、その冷却過程を解析した。冷却器長、磁場強度分布、レーザー周波数の離調量、原子源温度等をパラメーターとして、原子の動きをシミュレートした。その結果、入射レーザー光強度をクロム原子の飽和強度(9.8mW/mm^2)、冷却長を1mとしたときに、磁場を850Gaussから0Gaussまで変化させると、磁気光学トラップ可能な速度(18m/s)にまで冷却される原子は、熱蒸発したクロム原子のうちおよそ13%となり、予備冷却を行わない場合と比べて4桁以上向上することがわかった。現在、この結果から、ゼーマン冷却部の試作を行っているところである。
|