研究概要 |
本研究では,内部に劣化・損傷部を有する構造部材に各方向から一定周波数の大振幅の超音波を入射し、レーザー超音波検出器を用いて透過波をデジタル収録し,それに含まれる高調波(入射周波数の整数倍の周波数の波)成分を検出し、X線CTで開発された再構成アルゴリズムを非線形超音波用に拡張し,劣化・損傷部の3次元分布を明らかにすることを目的とする. 研究の初年度である本年度の研究で得られた主な成果を以下に示す 1.Photorefractive素子をを用いた2波混合方式の高感度レーザー超音波検出器(Tecnar Automation TWM-1500SP)により、光沢面でなくても、0.1-数十MHzの超広帯域にわたりほぼ一定の縦波受信感度が得られることを確認した.これにより,従来の接触式超音波法で計測不可能であった3次以上の高調波も検出することが可能となる. 2.不完全接合部における,垂直応力だけの非線形応答を考えた従来の接触要素に加えて,せん断応力の非線形性をも考慮した要素を導入して、閉口き裂に傾斜した方向に伝播する波の非線形挙動を解析する方法を導出し,擬閉口き裂を透過する波の高調波振幅の方位依存性を明らかにした. 3.非線形超音波計測装置を用いて,ほぼ同一の気孔率の噴霧鉄粉及び還元鉄粉焼結体に対して、5MHzの入射波、10MHzの検出波により,2次高調波振幅比に及ぼす気孔率,及び鉄粉種類の依存性を求めた.線形超音波の音速あるいは減衰で評価できない,鉄粉の種類の分別が可能となった.また2次高調波だけでなく3次高調波も検出でき,これによりさらに詳細な微視構造の解析が可能となる
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