研究概要 |
本研究では,内部に劣化・損傷部を有する構造部材に各方向から一定周波数の大振幅の超音波を入射し、,レーザー超音波検出器を用いて透過波をデジタル収録し,それに含まれる高調波(入射周波数の整数倍の周波数の波)成分を検出し、X線CTで開発された再構成アルゴリズムを非線形超音波用に拡張し,劣化・損傷部の3次元分布を明らかにすることを目的とする. 研究の2年目である本年度の研究で得られた主な成果を以下に示す. 1.高調波振幅を用いる超音波CTの基礎として,透過法による超音波減衰を用いるCT再構成アルゴリズムを作製した.不完全なデータ群を用いて再構成が可能なART法プログラムを開発し,内部に円柱状高減衰領域を想定した嵌め合わせ円柱体モデルについて,数値シミュレーションにより,高精度の減衰分布再構成が可能な超音波伝播経路を求めた.円柱状試験体では,中心軸回りの試験体の回転による放射状及びジグを介しての直径断面に平行な面に沿う直線伝播経路の組み合わせにより,高精度の減衰分布再構成が可能であることを明らかにした. 2.不完全接合部を含む拡散接合試験体について,直接接触透過法により従来の超音波パルスエコー法で検出できない極わずかな接合不完全性を2次高調波振幅により検出できることを明らかにした. 3.極性の異なるバースト波を試験体に入射し,受信波形を重ね合せることにより,2次高調波を抽出するパルス反転法により,特別な波形処理装置を使用せず高調波を検出する方法が利用できることを実証した.
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