研究概要 |
今年度の計画実施結果 本研究は,ナノメータオーダの超微細cBN(立方晶窒化ほう素)粒子が均一に結合した結晶構造を有する新しいタイプの高強度多結晶cBN砥粒(ナノ結晶体cBN砥粒)の開発と先端研削加工への適用について検討することを目的としている. 本年度は,ナノ結晶体cBN砥粒を用いたホイールの研削特性全般を評価するため,昨年度に引き続き各種研削実験(平面研削,円筒研削,プロファイル研削,難削材の研削)を行った. ナノ結晶体cBNホイールは,従来のcBN砥粒を用いたホイールに比べて砥石摩耗が少なく,数倍高い研削比が得られるなど,優れた研削性能を有することが確かめられ,特に,高バナジウム鋼等の難削材に対して優位性が高いことが明らかとなった.さらに,Ni基超耐熱合金のクリープフィードプロファイル研削においてナノ結晶体cBNホイールは,従来ホイールに比べて極めて優れた形状維持性及び約10倍の研削比を示し,高精度・高能率加工が可能であることが明らかとなった. また,ホイール表面に生成される切れ刃の分布を評価した結果,ナノ結晶体cBNホイール作用面には,ドレッシング直後から従来ホイールに比べて多数の切れ刃が存在し,研削の進行に対しても切れ刃の維持性が高い事が明らかとなった.このことがナノ結晶体cBNホイールの優れた研削特性の主な要因であると考えられる.さらに,ドレッシング条件の適正化によってホイール作用面の切れ刃を制御することにより,粒度#140の粗い砥粒を用いた研削においても鏡面の創成が可能であることが確認され,ナノ結晶体cBNホイールにおいてはその持続性も優れていることが示された. 以上の結果より,ナノ結晶体cBN砥粒を用いたホイールは高精度・高能率な研削加工が可能であることが実証され,さらに高品位鏡面研削加工に対しても適用できることが示された.
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