研究概要 |
本研究では,(a)ホログラム回折格子,(b)免疫検査チップ,(c)使い捨てコンタクトレンズ,などを試作対象に設定して,新たな転写プロセスの原理,被転写材料や型材料の材質,型材料の微細加工方法,プロセス条件の最適化,などを総合的に検討した。 平成13年度ではホログラム回折格子用の射出成形金型として温度センサと熱流束センサにより内部のプラスチックの状態をモニタつつ圧電素子により部分的な加圧ができる装置を開発した。この装置を用いてピッチ1μm、深さ150nmの回折格子をプラスチックに射出成形できることを確認した。また、犠牲層マスクを用いて硬質材料に転写を行うプロセスを開発した。ガラスの上にプラスチックを塗布しこれに型から形状を転写する。次に高速原子線により異方性エッチングを行う。プラスチックとガラスのエッチングレートを制御することで、元の型をそのまま、あるいは深さ方向に縮小/拡大した形状をガラスに転写できることを確認した。 平成14年度は,射出成型のキャビティ内の状態をリアルタイムに把握し,それに応じて能動的,局所的にキャビティ内の条件を精密に制御できる小形知能化金型を開発した。これは98x98x117mmの大きさの金型に,キャビティ内の局所的な熱流束を測る熱流束センサを3個,キャビティ内を局所的に加熱する小形ヒータを2個,そしてそれぞれキャビティ内圧と容積を測る力センサおよび変位センサを埋め込んだものであり,局所熱流束制御により30x15x6mm,厚さ1mmの箱型成型品の平面度を20μmから3μmへと向上させることができることなどを確認した。また,より狭い領域をピンポイントに加熱・冷却するためにφ1.0mmの小形ヒータやφ1.0mmの二重パイプ水路冷却器を試作・検討した。さらに,これらの小形温調器を用い,より精密な熱流束制御を行うための1dl金型の開発に着手した。金型体積を1dl程度以下とさらに小形にし,金型材料も銅合金を用いることで温度の制御性が向上する。予備実験の結果,φ1.0mmの二重パイプ水路冷却器によってキャビティ表面温度を局所的に1℃下げることができることを確認した。
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