研究課題/領域番号 |
13450056
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
遠藤 勝義 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90152008)
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研究分担者 |
井上 晴行 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30304009)
押鐘 寧 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40263206)
片岡 俊彦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50029328)
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キーワード | 走査トンネル顕微鏡 / 走査トンネル分光法 / 絶縁体 / 超精密加工 / 表面キャラクタリゼーション / 高周波パルス / 表面微細構造 / 表面欠陥 |
研究概要 |
本研究の目的は、絶縁体表面の原子構造と電子状態を原子レベルの空間分解能で観察できる高周波パルスSTM/STS装置を開発するとともに、超精密加工された絶縁体材料表面を計測評価し、加工条件の最適化を図ることである。絶縁体表面をSTM観察するためには、帯電と原子の移動を防ぐ必要性から、交流で伝導体に電子を注入するのに充分なバイアス電圧をmsec以下の短パルスで印加するとともに、探針-試料間の浮遊容量の影響を避けてトンネル電流の信号によってのみフィードバック制御する検出回路を開発しなければならない。さらに、絶縁体表面の欠陥準位を求めるために、トンネル電流のバイアス電庄依存性いわゆるトンネル分光を可能にしなければならない。 そこで、本年度は、RHK社製のSTM制御システムおよび自作のピエゾスキャナーをベースに設計・製作した高周波パルスSTM装置の徹底した性能評価を実施した。本装置は、直流バイアス電圧でのHOPGの原子像は観察できており、原子像観察に充分な分解能を持っている。このことは、除振および防音対策が機能しており、機械的な振動がノイズとして問題にならないことを示している。また、10kHz以上の高周波・矩形波パルスの±10Vまでのバイアス電圧をファンクションジェネレータによって印加して、トンネル電流の信号のみを検出する独自な回路を製作し、その性能も評価して必要な条件下で機能することを確認した。ところが、本装置での高周波パルスSTMによる原子像の観察にはまだ成功していない。種々の検討の結果、トンネル電流を検出する電流アンプのゲインとS/N比が原因であることを明らかにした。高周波パルスを検出する低ノイズ電流アンプをさらに開発する必要がある。
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