研究課題/領域番号 |
13450058
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芳井 熊安 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30029152)
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研究分担者 |
垣内 弘章 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10233660)
安武 潔 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80166503)
森 勇藏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00029125)
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キーワード | 大気圧プラズマCVD / アモルファスSiC / 超高速成膜 |
研究概要 |
昨年度の研究結果から、大気圧プラズマCVDによるアモルファスシリコンカーバイド(a-SiC)成膜時のCH_4/SiH_4比を最適に制御することで、ストイキオメトリックなa-SiC薄膜の超高速形成が実現できることが示されていた。そこで、原料ガス(SiH_4、CH_4)濃度を正確に制御しながらa-SiCを形成し、膜構造の評価を行った。得られた膜の構造は、現有の電子顕微鏡、赤外吸収分光装置により評価するとともに、オージェ電子分光装置により膜中元素の組成比(Si : C)の分析を行った。 その結果、予測したとおり、ストイキオメトリックなa-SiC薄膜を得る上で、成膜時のCH_4/SiH_4比に最適値が存在することが確認できた。ただし、腹中のSiとCの組成比は、投入電力や基板温度にも大きく影響を受けるため、各パラメータを総合的に最適化することが重要であることが分かった。 一方、腹中のSiとCの組成比が、膜厚方向に変化していることが明らかとなった。これは、本研究で用いている大気圧プラズマCVDプロセス特有の現象であり、以下のように説明できる。本成膜法では回転電極を用いていることから、大気圧プラズマの発生領域は電極軸方向に帯状に発生し、それと垂直方向に基板をスキャンすることによって一定の膜厚のa-SiC薄膜を形成する。その結果、基板との界面付近はプラズマ上流部、膜表面付近はプラズマ下流部の影響を受ける。しかし、プラズマ発生領域内の上流部と下流部とで、ガス流れの方向性に起因したラジカル密度の差が存在するため、基板スキャンにより形成した膜には、必然的に膜厚方向に構造が変化することになる。この課題に関して、現在成膜プロセスの改良に取り組んでいる。
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