近年、地球規模での環境問題がクローズアップされている。工作機械においては廃油と電力消費の低減が大きなテーマとなっており、これらの消費量を極力低減した環境対応形工作機械の開発が進められている。その実現へ向けた重要な研究開発項目の一つとして、潤滑油の供給が不要なクリーンテーブルシステムの開発が挙げられる。本研究では、平成13年度から2年間の計画で、潤滑油の供給を必要としないクリーンテーブルシステムの開発を行っている。平成13年度は、研究の初年度として、主にテーブル案内面材料の選定に関する基本的性能評価とテーブル構造の設計と実験用テーブルシステムの試作を行った。 まず案内面材料の摩擦・摩耗特性の評価を行った。実際の工作機械における滑り案内面の作動条件を再現し、固体潤滑複合材料の性能評価が可能な往復しゅう動型の摩擦試験機としての実験用テーブルシステムの設計と試作を行った。つぎに、これを用いて各種の固体潤滑剤について摩擦試験を行った。その結果、エポキシ樹脂にPTFEを添加した材料が最も低摩擦な特性を示すことが明らかとなった。さらに、エポキシ樹脂中のPTFE含有量は、案内面の摩擦・摩耗特性に強く影響することが確認された。PTFE含有量が多い材料ほど相手材への移着量が多く、摩擦係数は低いが耐摩耗性に劣ることが明らかとなった。 つづいて、摩擦・摩耗特性の評価試験の結果にもとづいて、クリーンテーブルシステムの構造と案内面材料を選定した。さらに、潤滑油が不要な案内面をもつ小型高速テーブルシステムの設計を行った。高負荷時に対応した圧縮空気供給による空気半浮上機構を採用した、ハイブリッド案内構造の設計を行った。平成14年度において、その性能評価を実施する計画である。
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