研究概要 |
本研究では,カブトムシの脚関節を観察し,それが軸と穴で構成され生体として潤滑されて動いていることを確認するとともに,外骨格マイクロモーションシステムの一例として,二つのリンクとその間にあるヒンジ部で構成され,機能要素を,力とトルクが伝達される構造体の内部に収納可能な外骨格モジュールを提案・設計を行い,駆動のためのSMA(形状記憶合金)アクチュエータの取り付け位置および外骨格モジュールの変位特性に関する検討を行った.その結果,生体として巧妙に潤滑されているカブトムシの脚関節を工学的に取り扱うことはさらなる微小化を考える上で困難と考えた.この結果を踏まえて,射出成形により外骨格モジュールを製作することとし,ヒンジ部で二つのSMAアクチュエータを用い,二つのリンク間の相対角変位を変位させ,コイル状SMA[線径:75μm,コイル外径:350μm]の取り付け位置を決定するために,ヒンジ中心,SMAの一方のリンク上の取り付け点,および他方のリンク上の取り付け点の3点を考え,SMAがひずみだけ収縮することを想定し,チャートを用いた好適な取り付け位置を見出すことができた.この外骨格モジュールの製作プロセスでは,モジュール部品を射出成形により製作することから樹脂の選定法,金型材料の選定・製作法,射出条件について検討し,材料はポリプロピレン,金型材料としては,ジュラルミンを採用した.つぎに,製作された外骨格モジュールの電流に対する二つのリンク間の相対角変位の関係を明らかにしている.さらに,形状記憶樹脂からなる管状マニピュレータを提案し,マニピュレータ本体構造となる形状記憶樹脂管の製作方法を明らかにし,樹脂粘度4.7×10^2Pa・s以下,引き上げ速度0.08mm/s以下の条件において,厚さ250μm,ばらつき10%以下の樹脂チューブが製作可能であることを示した.
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