研究概要 |
1.滑らかな断面変化を持った絞りによる油のキャビテーションの観察 初生空洞が停留しにくい円柱の側面を利用した円筒面絞りをアクリルで作成し,発生するキャビテーションを顕微鏡を用いて観察した.剥離点近傍に通したレーザ光の透過光量変化から空洞の初生を検知し,その時点からストロボ閃光までの時間を変えて空洞の発生から崩壊までの挙動を観察した結果,空洞が初め大きく成長し,その後大きく2つの部分に分かれ分裂しながら消滅するプロセスが観察された.さらに2台のストロボに異なる色のフィルムをかぶせ,僅かに時間差を設けて閃光させて撮影した結果,初生空洞の成長過程を詳しく調べることが出来た.また高速度カメラを用いて空洞の挙動を観察した結果,初生空洞が崩壊するまでのプロセスが明らかになるとともに,崩壊後流れに垂直な方向に残る微小空洞の列が観察された,これらの観察の結果,停留しない流れにおいてもキャビテーション初生は固-液界面のはがれで始まり,発生した空洞は急激に成長して下流に流され,ごく短い時間に大きく変形して消滅することが明らかとなった. さらにキャビテーション発生時に発光現象,帯電現象が観察された.光電子像倍管及び電極を用いて観察した結果,これらの現象は初生空洞の発生と同期していることがわかり,固-油界面のはがれが初生の原因であることを推測させる結果を得た. 2.閉回路によるキャビテーション観察装置の設計 油圧回路を用いたキャビテーションの観察では,油中気体溶解量を調整しにくいという問題がある.そこで閉回路におけるキャビテーションの観察を行うために,ピストンを用いたキャビテーション発生装置を考案し,現在設計中である.
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