研究概要 |
1.絞りに発生するキャビテーションの高速度ビデオカメラによる観察 円筒面絞りをはじめとする様々な形状の絞りに発生するキヤビテーションを,高速度ビデオカメラを用いて詳細に観察した.その結果,空洞が固-油界面で突如発生し,下流に向けて成長して一部が千切れていく様子が映像として始めて捉えられた.この空洞の下流端の成長速度は油の平均流速よりも速く,空洞を横から撮影した結果,上流端を壁面に付着させたまま下流端が急速に成長している様子が観察できた.また初生空洞は壁面に対して約45度の方向に成長しており,せん断層における最大張力の方向と一致することから,張力が油を壁面から,剥ぎ取っていると考えられる. 2.キャビテーション発光の分光測定 分光器を用いてキャビテーション発生時に観察される発光を測定した結果,発光は400nm付近に最大強度を持つ分布であることが明らかとなった.発光スペクトルから窒素,酸素,炭素,水素のスペクトルが特定でき,溶解している気体が大きく影響していることが分かった.さらに400nm付近が最も強くなる発光は放電によるものであり,キャビテーションと共に帯電現象が生じることから,発光には放電現象が大きく影響していることが分かった. 3.円筒面絞り表面のはく離点近傍の温度・ひずみの測定 はく離点近傍の円筒面絞り表面の温度を熱電対で測定した結果,流量の増加と共に表面温度が増加し,激しいキャビテーションが発生すると表面温度は大きく変化することが分かった.またキャビテーション発生時にはく離点近傍に働く張力を歪みゲージを用いて測定し,表面温度上昇の結果と比較した結果,張力が働いている可能性が高いことが確かめられた.
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