研究概要 |
(1)超音波素子を用いた衝撃波による静止含気マイクロカプセルの変形挙動の観察 超音波素子を用いて衝撃波を発生させて,マイクロカプセルに作用させる実験を行った.アルギン酸ナトリウムと塩化カルシウム水溶液によって生成させたゲルを,購入したマイクロマニュピレーションシステムによって,気泡を内包させることに成功した.前年度においてはカプセル径が200-300μmと大きくなってしまっていたが,製法の改善をおこなうことにより最小20μmの径を作ることができた.このカプセルに作用させる圧力発生源として,ピエゾ超音波素子を用い,圧力振幅や立ち上がり周波数などの条件を変化させて制御法を調べた.その結果,制御法の改善によって,立ち上がりの鋭い衝撃波を生成することが可能になることが示された.また,カプセル生成の際に,ノズル近傍での流れの制御を行うことでより小さいゲル型のマイクロカプセルを生成させることが可能となった. (2)超音波素子を用いた衝撃波による移動含気マイクロカプセルの変形挙動の観察と損傷実験 (2)の結果を利用して,臨床においては血流中にカプセルを流入することになるため,水の流体回路を設け,その中を移動する含気マイクロカプセルに衝撃波を作用させて,その流速をPIVにより計測し,カプセルに作用する並進および回転運動の場を求める.現在のところ,回路の製作および観測のための光学系の開発を進めており,圧電素子による衝撃波生成と光ファイバーによるレーザ衝撃波を用いて作用させる衝撃波制御およびその圧力波形についての計測をしており,微小な空間での衝撃波制御を行うことができている.一方,カプセル内の薬物漏洩試験に関しては,上記のカプセルの改良により行うことが可能で,次年度の課題としたい.
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