研究概要 |
高速度カメラによりノズル内流れを観測し、これまで考えていた気泡と水が混合した流れではなく、気相と液層が分離した流れであり、高圧空気の噴出部下流の気液界面に大きな振幅をもつ波が現れる。この波の頂部がノズル上面に近付くことにより空気の流路が遮断され、その上流部の圧力が増加し、水を下流へと加速する構造が明らかとなった。この流れの条件は、圧力の上昇のタイミングが早すぎる事によるが、運転条件の適正化に対する指針が得られた。もっとも極端な場合として、高圧空気を断続的に噴出する方法であるが、この場合ノズルの推力自体は連続的に噴出する場合よりも小さいが、空気の噴出時間をベースに換算し直すと、その推力が増加することがわかった。 ノズル内の圧力分布の履歴を測定し,上記ノズル内流れの構造を確認した.すなわち,ノズル内の界面に現れる波の前方は圧力が高い.しかし詳細な測定では波直前の位置でもっとも高く,それより上流では圧力が下がっていることが確認された. これらのことからノズル内での水の加速は,乱流混合に依るのではなく,空気により直接水塊を加速しており,損失の少ないメカニズムであると考えられる. 数値シミュレーションにおいては、2種類の粒子を用いた差分格子ボルツマンモデルにより、ノズル内2相流れを計算した。その結果噴出した気相と液層の界面に、観測で得られた波動が生じ下流へと流れていくことが確認された。またノズル内の圧力変動は、この波動と連動しているようであるが、必ずしもそれらの相関はすべての場合に対して高くはない。この事実は実験的に検証が必要である。ただ波の形成に同期して、噴出気流の揺動がみられることなど、流れ場全体として定性的には実験結果と良い一致を示し、計算によるシミュレーションを注意深く調べることにより、ノズル内流れの知見を得ることが可能であることがわかった。また気液の密度比は約800であり,この大きな密度比に対応するモデルの駆逐を試みた.現時点では単相において30倍程度の密度変化を実現することができた.圧縮性流体の安定でかつ比熱比を多原子気体にまで拡張しうるモデルの提案を行った.
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