研究概要 |
本年度はin vivo及びin vitroにて,滑り刺激を加えた場合の軟骨組織構造に及ぼす影響を調べた.in vivoにて再生中の組織に運動刺激を加え、かつ動物に与えるストレスを低減した動物モデル及び装置を考案している。これらの実験モデルを用いてラットの尾椎骨切り部に4週間の曲げ滑り及び純粋滑り運動刺激を加えた結果、曲げ滑り刺激では滑り面を有する硝子軟骨様組織の新生が認められた。この組織はSafranin-OおよびToluidine Blue染色に強く染色性を示し、免疫染色においてはtype II collagenに陽性を、type I collagenに陰性を示した。また、その組織は関節軟骨と類似した表面および層状構造を有していた。このことから、組織内層状構造の構築にはすべり運動にもとづく力学刺激が強く影響していると考えられた。しかし,凸面接触部のない純粋滑り刺激時には,このような層状構造は得られなかった.軟骨の深さ方向の構造が高度の潤滑機能と深い関係があることから,凸面接触による深さ方向の応力分布とその移動が再生軟骨の機能構築には不可欠であることが示唆された.
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