研究概要 |
ホットレベラのワークロールに発生する多角形化現象を防止するための初期設計の指針およびロール回転数変更による遅延対策を解析的に考察した.得られた結果は以下のようにまとめられる. 1.多角形摩耗を起こさないための初期設計の指針を定めるため,モード解析を用いて多角形摩耗に関与する3つの要素,すなわち,摩耗のしやすさを表すパラメータα_i,構造剛性に関するパラメータβ_iおよび減衰に関するパラメータζ_iを導入した. 2.3つのパラメータの多角形摩耗への影響を調べた.その結果,ロールの多角形摩耗現象を防止するためには,α_i、,β_iを小さく,ζ_iを大きくするように初期設計を行う必要があることが判明した.接触回転系のパターン形成現象防止に対する設計指針を与えた. ロールの材質は耐摩耗性をもち,ロールの接触剛性を小さく,系の支持剛性を大きくし,しかも減衰を積極的に取り入れる必要がある. 3.ある角形数のパターンが成長していたとき,ロールの回転数を変化させてその角形数のパターン形成現象が生じない安定な状態に持っていけば,今まで成長していた多角形摩耗によるパターンが消滅するが,他の角形数のパターンが形成され始める過程を利用して多角形摩耗現象の成長を遅らせる方策を考察した. 4.ホットレベラの機能低下を生じない程度にお互いに近い2つのロール回転数を交互に変化させて多角形摩耗現象を遅延させる方策を提案し,その効果を数値シミュレーションで明らかにした.その結果,多角形摩耗現象の成長速度が格段と低下することが明らかになり,この対策がコストの面で貢献できることが判明した.
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