研究概要 |
本研究は,胴体に既存のマニピュレータを4本接続したようなヒューマノイドではなく,人間のように頭部と胴体の姿勢を柔軟に制御でき,関節の剛性を動的に調節可能な人間型ヒューマノイドの実現法と行動制御法をテーマとしている.そこで,全身を人間のように筋骨格構造をもたせ,頭部,胴体,四肢の駆動すべてを互いに拮抗した筋肉型アクチュエータを複数本利用した腱駆動型のヒューマノイドの開発を行った.この全身が筋骨格構造をもち筋腱拮抗駆動のヒューマノイドの全身がしなやかさと耐衝撃余裕を有する行動をどのように実現すべきかをあきらかにすることが本研究の目的であった.3年間の計画として,腱駆動ユニットの開発,胴体の開発,腕部の開発,下半身の開発を行い最後に,全身行動の実験を行うという予定を順調に進めることができた.最終年度となる本年度は,下半身の製作を行い,3年間の研究総括として腱駆動全身ヒューマノイドの行動実験を行った.その内容は以下のようにまとめられる. (1)下半身の製作 筋骨格型ヒューマノイドは,筋を並置して利用することができるため,筋力が不足する部位や行動に関して筋を増強することが可能となる.脚の場合には,体重の変化に応じて筋力が必要となる場合も多く,筋増強可能な構造をもつ下半身脚を実現した.それにともない筋を追加した場合の身体モデルの獲得方法を新たに開発した. (2)腱駆動全身ヒューマノイドの行動実験と総括 前年度までの視覚,聴覚等との連携による注意反応行動が可能なシステムにおいて,筋増強型の身体における身体モデルの獲得系を導入することを行った.筋増強がなされた後に,その筋力に応じた行動計画を構成し,注意反応行動系との統合可能なシステムを実現し,単なる位置制御ではなく,クランク構造など運動拘束の伴う対象での行動遂行実験を行い,しなやかさと力強さを備えた全身腱駆動ヒューマノイドの行動実現を行った.
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