身体的コミュニケーションにおける引き込み原理に基づくヒューマンインタフェース設計

2003 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 13450106
• 研究機関: 岡山県立大学
• 研究代表者: 渡邉 富夫 岡山県立大学, 情報工学部, 教授 (30167150)
• 研究分担者: 山本 倫也 岡山県立大学, 情報工学部, 助手 (60347606) ; 大久保 雅史 岡山県立大学, 情報工学部, 助教授 (10233074)
• キーワード: ヒューマンインタフェース / ヒューマンインタラクション / 身体的コミュニケーション / 身体的インタラクション / コミュニケーション支援 / 身体性 / 身体性メディア / ロボット

研究概要

本年度はとくに3者間インタラクション支援と解析のための身体的バーチャルコミュニケーションシステムを開発展開し、新たに「面の皮インタフェース」のコンセプトを提案し、そのプロトタイプシステムを開発した。面の皮インタフェースは、自己の代役(アバタ)であるVirtualActorの頭部に入り込んだ提示法であり、自己とVirtualActorの一体感を飛躍的に高め、自己の視線を確認しつつ3者間でのコミュニケーションが可能となる画期的なシステムである。官能評価実験により、見ている感覚を強く感じることができるなど視線提示に有効であることを明らかにし、システムの有効性を示した。またこれまでの視聴覚提示システムだけでなく、うなずき反応を触覚提示するシステムのプロトタイプシステム開発など、新たな感覚提示システムの開発を進めている。
開発した身体的コミュニケーションシステムは、各種イベント等の多くの場で公開、テストを繰り返しており、現在、日本科学未来館に常設展示され、研究成果が公開されている。実際にシステムを体験することで、子どもから大人まで身体的コミュニケーションの不思議さ、重要性を感動とともに体感できる。身体的コミュニケーション効果を理論としてだけでなく、デモストレーションシステムとして体験できる形で実証し、当初の計画以上の進捗状況といえる。
本研究成果に関しては、「IEEE RO-MAN 2003ロボットと人間のインタラクティブコミュニケーション国際ワークショップ最優秀論文賞(2003.10)」,「2004年ヒューマンインタフェース学会論文賞(2004.3)」を受賞するとともに、2003年10月に「生物学的人工システムにおける進化とインタラクション」国際シンポジウムで「身体的コミュニケーション・インタラクション技術-心が通う身体的コミュニケーションシステムE-COSMICの開発を通して」と題して基調講演を行った。

研究成果

• [文献書誌] T.WATANABE, M.OKUBO, M.NAKASHIGE, R.DANBARA: "InterActor : Speech-Driven Embodied Interactive Actor"International Journal of Human-Computer Interaction. Vol.16・No1. 43-58 (2004)
• [文献書誌] T.WATANABE, M.OGIKUBO, Y.ISHII: "Visualization of Respiration in the Embodied Virtual Communication System and Its Evaluation"International Journal of Human-Computer Interaction. Vol.16・No1. 87-99 (2004)
• [文献書誌] 渡辺富夫: "人とロボットの同期現象"テクノカレント. No.357. 2-11 (2003)
• [文献書誌] 渡辺富夫: "身体的コミュニケーションにおける引き込みと身体性-心が通う身体的コミュニケーションシステムE-COSMICの開発を通して-"ベビーサイエンス. Vol.2. 4-12 (2003)
• [文献書誌] 石井裕, 渡辺富夫: "VirtualActorを対面合成した身体的ビデオコミュニケーションシステム"ヒューマンインタフェース学会論文誌. Vol.5・No.2. 73-82 (2003)
• [文献書誌] 大久保雅史, 渡辺富夫, 伊藤正人, 久保木聡: "仮想空間での3次元形状評価における視覚情報の遅延の影響"日本機械学会論文集(C編). Vol.69・No.684. 124-129 (2003)