研究概要 |
本研究は,バルク超電導体の磁界整形作用を利用した超電導磁気軸受の静的および動的な基本特性の詳細を,磁界解析と小形試験装置による測定を通じて明らかにし,大形高速回転機の超低損失軸受としての応用可能性と,さらなる特性向上の可能性を検討することを目的としている。今年度は,平成13年度に製作した小形実験装置を用いて,超電導磁気軸受としての基本特性を測定し,さらに数値電磁界解析も行うことによって,その特性上の特徴を示すとともに,今後の特性向上の可能性と課題を明らかにした. 超電導磁気軸受の電磁力の静特性およびフリーランによる回転損失特性の測定を,発生磁界などの条件をパラメータにして実施した.その結果,回転速度は回転時の振動の共振のため最高で9000rpm程度に抑えられ,また,回転損失も当初の予想よりもかなり大きく,回転の減衰が早くなっていた.この原因は,磁気遮蔽材として使用されているバルク超電導体の高磁界中での超電導特性の低下にある.磁界発生用のBi系超電導コイルの最高発生磁界は0.8T程度であったが,その磁界が印加された際には,回転体としての鉄円柱部は,幾何学的な中心軸から明らかに偏心していることが観測され,径方向電磁力の安定化に重要な役割を果たすバルク超電導体の特性の不均一性やバラツキが,特に高い磁界で顕著に表れたものと考えられる. 数値電磁界解析により超電導磁気軸受の特性解析と回転損失の見積もりを行い,それと実験結果との比較を行うことによって,軸受特性を悪化させるバルク超電導体への磁束の侵入の程度,およびその侵入の不均一性からくる回転損失の増加について検討を加えた.その結果,バルク超電導体の臨界電流密度特性の向上と,超電導体中および超電導サンプル間の特性のバラツキの低減が,磁気軸受特性の向上,さらには実用的な低損失軸受として成立さえる上で重要であることが明らかになった.
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