研究課題/領域番号 |
13450130
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中島 寛 九州大学, 先端科学技術共同研究センター, 教授 (70172301)
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研究分担者 |
古川 勝彦 九州大学, 先端科学技術共同研究センター, 助教授 (40264121)
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キーワード | シリコン / 電子サイクロトロンプラズマ / スパッタリング / 高誘電率絶縁膜 / 酸化膜 / 窒化膜 / 積層構造 |
研究概要 |
本研究では、高活性なプラズマ生成が可能な電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマによるSiの低温酸化・窒化およびECRプラズマからのスパッタリングによるZrO_2の高誘電率絶縁膜の低温堆積により、酸化膜(SiO_2:ε_s=3.7)換算で2nm以下のゲート絶縁膜形成の技術基盤を確立することを目的としている。 これを実現するために、本年度はプラズマ生成に必要な希ガスとしてAr、Kr、Xeガスに微量の酸素ガスおよび窒素ガスを添加し、130℃の低温でSi酸化膜およびSi窒化膜を形成した。また、Arプラズマスパッタリングにより40nmZrO_2薄膜を形成し、ZrO_2のバルク特性を明らかにした。いずれも、希ガスの種類による膜質の特徴、ガス流量依存性、基板バイス依存性、形成機構を系統的に調べた。測定は、絶縁膜の絶縁破壊電界と絶縁破壊頻度をI-V測定により、絶縁膜-Si界面準位密度と絶縁膜中の固定電荷をC-V測定により、構造解析を分光エリプソメトリー、ATR-FTIR、XRD等により調べた。本年度に得られた成果は以下の通りである。 1.SiO_2に関してはKr希釈O_2プラズマ照射により絶縁破壊電界12MV/cm、界面準位3.2×10^<10>eV^<-1>cm^<-2>の特性を有する高品質酸化膜を130℃の低温で達成した。 2.SiNに関してはXe希釈N_2プラズマ照射により1〜3nmSiN膜の形成と絶縁破壊電界10MV/cmの特性を有する高品質窒化膜を130℃の低温で達成した。 3.ZrO_2に関してはAr/O_2プラズマスパッタにより誘電率20.5、絶縁破壊電界4MV/cmを達成した。これは酸化膜の5倍の高誘電率化を意味する。 4.ZrO_2/SiN積層構造を用いて酸化膜換算で1.8nmの絶縁膜形成を達成した。 以上の1〜3の成果は、J. Vac. Sci.およびJ. Appl. Phys.に投稿中である。今後の課題は界面準位の低減と更なる薄膜化(1.5nm以下)である。
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