研究概要 |
1.吸収損失の低減化 現在のSi厚膜の吸収損失は大きい。これは通常の真空蒸着ではSiがダングリングボンド(未結合手)を多数有するアモルファスになっているためである。この問題の解決を図るため,成膜後のa-Si厚膜を熱処理し多結晶化することを試みた。500〜800℃の間の一定温度で3時間,または650℃で最長20時間の熱処理を行った後に厚膜の吸収損失を評価した。その結果,いずれの熱処理条件においても吸収損失は低減されなかった。今後は別の方法として,a-Si厚膜形成時に基板温度を高くする方法,またはa-Siの水素化する方法により損失の低減化を図っていく。 2.偏光分離角の改善の準備 理論的には最大27°の偏光分離角が期待できる。針状Siの配向角を60°付近にできるか,および充填率を0.4程度にできるかが重要である。そのために必要な真空蒸着装置を購入し,現在は上記条件を満たすべく最適な成膜条件出しを行っている最中である。さらに配向角は基板の設置角を5°以下にできるようにする必要があり,そのための装置・冶具を自作している。また,既存の偏光分離素子を利用して,偏光分離幅および偏光分離角の精密測定系を立ち上げた。
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