研究概要 |
本研究では変調光検波方式イメージセンサの出力特性を改善し,良好な変調光撮像画像を得ることを目的とした.そのため,0.35μmや0.6μm CMOSプロセスを用いて画素回路やイメージセンサの試作し評価を行った.まず,出力特性評価用に試作した画素回路について詳細な評価を行い,出力特性の劣化が「寄生N-DIFF」,「拡散キャリア」,「残留電荷」の影響によるものであることを明らかにした.次に,試作した64×64画素の変調光検波方式イメージセンサの評価を行い,変調光成分のみの撮像を確認し,マーカ検出への応用を示した.さらに,変調光撮像画像の高画質化を目指し,ソフトウェア処理による固定パターンノイズの抑制によりノイズを1/27に抑制することができた.また,解像度向上のため試作した128×128画素の変調光検波方式イメージセンサでの変調光成分画像の撮像を確認した. 次に,出力特性劣化の原因として明らかになった「寄生N-DIFF」,「拡散キャリア」,「残留電荷」のそれぞれの影響について詳細に検討し改善を試みた.「寄生N-DIFF」の影響により少量電荷が転送されず,光量の低照度側で出力がでない問題については,寄生N-DIFFの電位をリセットすることで解決した.また,「拡散キャリア」・「残留電荷」の影響により,電荷を転送していない側の電荷蓄積部の電位が減少するため,出力が正常な飽和特性を示さずに減少していく問題があった.これらの影響については,オーバーフロードレインの導入により拡散キャリアの影響を約1/12に,残留電荷掃き出し動作によって残留電荷の影響を約1/30に抑制することができ,正常な出力特性を得ることができた.これらの改良を加えた画素回路で新たに64×64画素のイメージセンサを試作し評価を行った結果,画像特性改善の効果が確認でき,良好な変調光成分撮像画像を得ることができた.
|