研究課題/領域番号 |
13450147
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研究機関 | 九州工業大学 |
研究代表者 |
尾辻 泰一 九州工業大学, 情報工学部, 教授 (40315172)
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研究分担者 |
岡本 卓 九州工業大学, 情報工学部, 助教授 (40204036)
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キーワード | プラズマ電子波共鳴 / テラヘルツ / トランジスタ / ポラリトン / プラズモン / 3次高調波 / 光注入同期 / 電気光学サンプリング |
研究概要 |
本研究では、InGaP/InGaAs pHEMTを対象とし、2次元電子システムのプラズマ共鳴効果によるテラヘルツ帯光注入同期発振動作を実験的に検証した。THz帯プラズマ共鳴の励起手法としては、励起周波数がチューナブルである必要から、レーザ2光波混合による差周波テラヘルツ励起の手法を用いた。差周波励起の素過程には、(i)フォノンを介したポラリトン・プラズモン励起(ii)バンド間光励起電子による2次元電子濃度の変調によるプラズモン励起、がある。励起効率が圧倒的に高い後者に注目し、バンド間光学共鳴励起過程において光励起電子が共鳴特性に与える影響を、変調指数を用いてモデル化し理論的に予測した。本モデルによって、変調指数の上昇と共に、共鳴強度の向上、共鳴Q値の低下、並びに共鳴周波数のブルーシフトが生じることを定量的に算出できる。ゲート長0.15ミクロン程度の微細化HEMT素子においては、1THzから10THz以上の周波数帯において基本共鳴波及び3次高調波共鳴が予測される。実際に、InGaP/InGaAs pHEMTを対象として、プラズマ共鳴動作実験を遂行した。励起光源には、2台の1550nm帯波長可変半導体レーザの混合光を用い、2波混合による差周波成分が所望のTHz周波数となるようにレーザ波長を設定、合波し、チップ裏面よりチャネルに照射した。実験の結果、一定のゲートバイアスと励起光強度条件下、即ち充分な2次元電子濃度と適切な変調指数を保証する条件下において、1.9THzにおける基本共鳴と5.8THzにおける3次高調波共鳴との観測を含む、励起光周波数依存性の観測に初めて成功した。以上の研究成果より、テラヘルツ帯光注入同期発振動作の実現性並びに、プラズマ電子波共鳴トランジスタとしての実現性の見通しを得た。
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