研究概要 |
研究実施計画に従って研究を遂行し,以下の成果を得た. 1.フラクタル画像符号化の復号過程において圧縮データの誤りに起因する画像劣化が拡散するメカニズムを理論的に解析し,拡散する誤りの量はドメインブロックの探索範囲に関係無く圧縮データに起因する誤りの量の約2.4倍程度であるという知見を得た. 2.自然画像の近傍画素間における相関性を利用し,レンジブロックの面積を拡張することによって,圧縮データの量はそのままに,同画像2枚分の元画像データを作成し,一方から他方の誤り部分を推定することによって,誤り部分のデータを回復するアルゴリズムを考案し,さらに手法の最適化,理論による裏付けの検証を行った. 3.提案手法においてそれぞれの拡張レンジブロックの形状に対して最適とされたドメインブロックとの画素値の平均二乗誤差を調べ,レンジブロックを拡張した際のフラクタル理論を適用するのに最も適した形状を決定した.またその妥当性を符号化・復号化のシミュレーション実験によるSN比の比較からも確認した. 4.復号側での誤り検出に過程のメカニズムについても考察を加え,閾値処理によって誤り検出を行う場合に,必ずしもその判断が正しくない場合があることを突き止め,それが再生画像の誤り修復効果を減少させ,再生画像の画質劣化を招いていることを確認した. 5.4のような誤り修復のロスをなくすために,予め符号器に誤りの誤検出が起こらないドメインブロックを検索し直すような前処理を加えることにより,復号側で誤りの誤検出が起こらないように改良した. 6.5のアルゴリズムに基づく符号器,復号器によって,従来の誤り検出率を減少させること無く誤り誤検出をほぼなくすことに成功した. 以上の結果,誤りの発生する環境において,提案法は従来法比べ最高数dB程度の画質改善効果があることが確認された.
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