研究概要 |
13年度における研究成果は以下の通りである. 我々が従来から研究を行ってきたトレリス符号化同一チャネル干渉波キャンセラTCCはマルチユーザのシナリオであるが,時空符号化はシングルユーザのシナリオである.このため,複数の送信信号に意図的な相関を与えることが容易となり,これまでのTCCの符号化についての知見が一層発揮できることが期待できる.まず,符号化部分について理論的に考察した.その結果,符号化を変更するだけで誤り率の大きな改善が可能となった.特に,いわゆるフロア誤りが大幅に減少した. 本年度は特に,仮定するアンテナ数を拡大した.これは,最近の空間多重やBLASTと呼ばれるシステムモデルである.この際に増加してしまう演算量を削減するアルゴリズムについて検討を行った.これは,従来あまり検討されていなかったViterbiアルゴリズムにおける計算ブランチ数を削減するものである. また,アンテナ数に制約はあるが,研究室独自に室内伝送実験を行い,計算機シミュレーション結果との良い一致をみた.これは,2信号同時送信のモデルであるが,そのままのハードウエア構成で時空符号化やTCCなどの実験的特性比較が可能である.この実験系は高い精度と安定度を持っており,今後の有効利用が期待できる.
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