研究概要 |
本研究では,ホロニック光情報ネットワークのマルチメディア統合スイッチングの実現に向けて,1.波長群パスに基づく新たなスイッチング方式の提案,2.QoS保証を実現するためのバッファ管理方式に対するハードウェア設計,エージェントゲートウェイ論理網の動的構築法の確立とゲートウェイノードのプロトタイプ基本実装の3点から研究を推進した.具体的に,1.では,ホロニック光情報ネットワークの伝達系を司る光ベースのネットワーク基盤として,WDMとTDMの融合を考慮に入れた交換方式を新たに提案した.本方式は,複数の連続した波長からなる波長群単位でパスを設計し,映像などの長時間かつ広帯域なアプリケーションに対して波長を割り付け,内部の転送としては時間的に多重されたパケットの形態を維持する波長群スイッチング方式である.また,本方式に基づく波長群パス設計法を新たに確立し,その性能評価を行った.その結果,光素子数の削減,波長資源の節約が達成された.この方式により,呼接続確立までの時間短縮化も図られる.2.では,QoS保証を実現するため,アクティブフローを独自で管理し,それに基づきバッファ空間を論理的に割当て,Pushoutパケット廃棄機構,転送スケジューリング機構の両面から,フローの差別化,QoSの改善を図るバッファ管理制御方式を確立し,そのハードウェア機能設計を行った.機能レベルの設計,各種テーブルの定義,タイムチャートの厳密な規定(読出し,書込みともに4クロックで動作)を行った後,ハードウェア記述言語VHDLにより,機能縮小したバージョンをコード化し,動作検証を行った,さらに,本コードを元に論理合成を行った結果,約20万ゲート,動作周波数62.5MHzの性能を達成した.以上より,現段階で,64byteの小パケットが定常的に連続到着するような厳しい環境下でも約8Gbpsのレートで動作可能であることが明らかとなった.3.では,ホロニック光情報ネットワークの制御系を司るエージェントゲートウェイ論理網を動的に構築する方式を提案した.本方式では,新規加入したエージェントゲートウェイを現状の論理網にjoinさせる際,物理的距離と論理網構成上の性質の両方を考慮に入れる点に特徴があり,論理網の冗長性,負荷分散能力や耐故障性に優れている.また,エージェントゲートウェイ論理網を実装する上での第一段階として,プロトタイプ実装の基本コア部をjava言語により構築した.
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