研究概要 |
最終年度である本年度は,昨年度の成果(進化的手法による設計,画像以外のパターンデータへ適用,ニューラルネットワークアルゴリズムの利用)をベースに試作システムを完成した.画像の認識速度は1マイクロ秒以下であり,前処理時間を含めて十分高速に動画像認識を実行できることがわかった.また,実用的な問題(顔画像認識,手の形状画像認識)において300万ゲート以下の回路規模で対応できることがわかり,ハードウェアサイズも十分コンパクトにできることがわかった.これらの評価結果により,本研究の目的である「画像データから直接生成された回路を用いて,ナノ秒オーダの高速画像理解処理を実現する」ことの基本技術は十分達成できたと考える.また,この技術において再構成可能集積回路(FPGA : Field Programmable Gate Array)とParzen Window法が特に有効であることが示された. さらに,組み込み電子機器の総合展示会であるEmbedded Technology 2003 (2003年11月12日-14日パシフィコ横浜にて開催)と電子機器設計ツールの総合展示会であるElectron Design Fair 2004 (2004年1月29日-30日パシフィコ横浜にて開催)に開発した試作システムを出展し,一般ユーザ関連技術者の意見を聞いた.その結果,製品化に向けて今後,以下の点が必要であることがわかった. 1)ハードウェアの高速処理を活かした認識精度の更なる向上. 2)低電力化とモバイル器機への組み込み検討. 3)照明や画像サイズに対して高い認識精度を保てるロバストネスの向上 今後は製品化に向けて上記の項目を集中的に検討する必要があり,これらは具体的な製品化構想の中での評価が不可欠であると考える.
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