研究概要 |
研究の目的:聴覚に加えて,指先位置体性感覚,指先触覚などのマルチモーダル感覚を動員して,視覚情報(テレビカメラから入力された実時間オンライン画像情報やコンピュータディスプレイ上の画像情報)を呈示する技術を開発する. 音による画像呈示: ・聴覚情報と指先位置感覚を利用して,視覚障害者がメンタルマップを生成するためにインタラクティブに地図情報が呈示できるシステムを提案し,その特性を調べた.今回は「○○小学校」というように日本語の単語を発生する形式とした.1音呈示モード,絶対座標系による俯瞰モード,身体座標系による没入モード(2chステレオ音,4chステレオ音)からなる,4種類のモードでの知覚実験を通して,構築したシステムの評価を行った.その結果,メンタルマップ生成には,他のモードに比べて4chスピーカを用いた俯瞰モードが有意に優れていることが示された.なお,今回は,道路4,5本,対象物10個の略地図について実験を行ったが,俯瞰モードにおいて,約289[s]の時間,約73%の正解率でメンタルマップが生成されることが確認された.しかしながら,被験者の心理的負担は大きく,以下のような指先誘導アクチュエータ方式を開発することとした. 指先誘導アクチュエータによる指先触覚の呈示,指先位置感覚援用インタラクション: ・指先誘導アクチュエータと聴覚情報を利用したシステムが有望であると考え,そのシステムの実現の可能性を探るための基礎的検討として,アクチュエータの設計法について検討した.高剛性,高出力,高精度という特徴を考慮して,2自由度5節回転連鎖によるパラレルリンク機構を取り上げた.基線長0,サーボモータ回転角(θ=180°)なる条件の下で,正方形状の動作範囲を最大化する,最適リンク長比率ε=1.27が得られた.アクチュエータにより,被験者の指先を誘導して,被験者が道路などの全体像を把握する作業を補助することで,メンタルマップ生成時における負担が軽減されることが期待される。
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