研究概要 |
(1)視覚障害者のメンタルイメージとしての図形生成支援を目的として,回転ノブ付きのパラレルリンクマニピュレータシステムを提案した.提案のメンタルイメージ生成支援システムは2自由度パラレルリンクマニュピレータ,およびマニュピレータの手先に取り付けられた1自由度回転型アクチュエータから構成される(合計3自由度).手先アクチュエータの回転軸にはノブが取り付けられており,被験者は,ノブをつまむ形でシステムを使用する.ノブの位置は呈示される図の輪郭を辿る.また,その方向はトレースする方向を常に示す.このことにより,被験者は人間の体性感覚により指先の位置と方向を知覚でき,連続的に知覚された情報を頭の中で繋ぎ合わせることにより,図形状が知覚できると期待される. (2)このメンタルイメージ生成支援システムの有効性を確認するための基礎実験を行った.その実験では,不定形5角形を一周だけ周回させたときの正解率を調べた.なお,各辺を構成する線分は,人の体性感覚による方向の知覚弁別能を考慮して水平,垂直,斜め45度のみとした.全長は全て450mmに揃えた.比較した提示方法は以下の3モードとした.すなわち, ・ノブを使用しない"誘導モード" ・ノブを使用する"指示・誘導モード" ・レーズライタによる"触図モード" 心理物理実験の結果,"指示・誘導モード"の知覚率は他に比べて有意に優れていた. (3)さらに,実際の利用方法を想定して,被験者が呈示図形を知覚したと自覚できるまで,自由に何周でも呈示図形の輪郭をトレースさせる実験も行った.そして,呈示図形を知覚するまでに要する時間を計測し,その時間によってシステムを評価した.その結果,知覚時間に関してはいずれもほぼ同程度の性能であった.また,使用時のストレスの観点での使用感に関してはノブ使用が優れていることがわかった.
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