CSCW分野において扱われるデータは主に、映像、音声であり、物理的接触を含むマルチモーダルな協調作業はあまり注目されていない。そこで本研究では、触覚・力覚に注目し、触覚を伴う遠隔微細作業環境を提案した。微細作業を微細作業空間とのテレオペレーションとして捉え、スケールの違いを吸収し快適な作業環境を提供するネットワーク志向の遠隔微細作業システムを実現することを目指した。 微細作業用のマイクロマニピュレータとしてパラレル構造を採用し、運動学解析、精度評価等を行い、本機構が人間の器用さを微細作業空間にて再現する十分な性能を有することが明らかとなった。 また、オペレータが操作するハプティックインターフェースについて、マイクロマニピュレータとの接続を考慮し、主にその力制御の性能向上に関する議論を行ってきた。モデル規範型適応制御、スライディングモードをベースとしたオブザーバ等を導入し、各自由度を適切なモデルに追従させることで応答の等方性の向上を試み、性能の著しい改善を実現することができた。また、スライディングモードをベースとしたオブザーバ導入により、制御対象を任意のダイナミクスに整形することも可能となり、オペレータの操作感を任意に変化させることが可能となった。 さらに、上述の微細作業用マニピュレータおよびハプティックインターフェースを、ネットワークにより接続することで異構造・バイラテラル・テレオペレーションシステムを構成し、力覚フィードバックを有する微細作業システムを実現した。基礎的実験によりシステム全体としてのパフォーマンスを評価し、微細作業支援システムに必要なパフォーマンスを得ることを示した。また、8種類の基本タスクを設定し、2種類のハプティックインターフェースを用いてこれらのタスクを行いこれらのタスクの実現可能性を示した。
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