研究概要 |
平成14年度は主に,自律システムを取り巻く環境が動的な場合において,内部モデル連想記憶型自律システムを構成するために必要な,1)動的環境との相互作用における強化学習法,2)複合型カオスニューラルネット利用型時系列データ連想記憶方式,3)カオスの縁利用型カオス制御方式に関する研究を行った. 1)動的環境変化に対応した強化学習システムに関する研究 ・これまでの強化学習法の概念にない時変パラメータという概念を導入し,急激な環境の時間変化に対応不可能なこれまでの強化学習システムを急激な時間変化に適応可能へと拡張した,動的環境変化に対応可能な進化的強化学習システムを提案した.その有効性を,通路の形状が時間的に変化する環境での移動ロボットの行動学習シミュレーションにより確認した.現在,その研究成果を学会誌へ投稿中である. 2)複合型カオスニューラルネット利用型連想記憶方式とその記憶モデルへの応用に関する研究 ・時系列データの連想記憶,特に,複数の時系列データにおいてその先頭のみが一致し,続く時系列データが異なる1対多の時系列データの連想記憶・想起方式を開発し,その応用例として,本方式を用いた海馬連合野モデルを構成し,1対多の時系列データの連想記憶・想起が可能であることをシミュレーションにより確認した.現在,本研究成果を学会誌へ投稿中である. 3)カオスの縁を利用したカオス制御方式に関する研究 ・環境がカオス的に変化する状況を考慮して,カオス環境の安定化制御に関する検討を行い,カオス状態を固定点へ制御する安定化制御器を設計する場合,設計時にカオスの縁を保ちながら固定点へ制御すると,カオスの縁を考慮しない場合に比較し,目標固定点の変化に,より柔軟に対応可能(汎化能力が大)であることをシミュレーションにより示した.本成果は学会誌へ掲載された.
|