研究概要 |
平成14年度は開発したUBRC橋脚構造を対象に,鋼より線を用いたUBRC橋脚の構造特性,また丸鋼を特別なアンボンド処理することなく芯材として用いたUBRC橋脚の構造特性について,解析的および実験的検討を行った. ・鋼より線芯材を採用したUBRC構造形式について検討し,その二次剛性発現効果などを検討した.鋼より線を用いたUBRC供試体を設計し,正負交番載荷実験を行った.その結果,芯材配置効果により二次剛性は発生するが,鋼棒に比べてやや小さめの値を示すこと,最大耐力点以降の耐力減少が鋼棒使用時に比べて大きいことが明らかとなった. ・UBRC構造は芯材をアンボンド化することにより大変形域においても塑性化を防ぎ,安定した二次剛性を発揮させる構造であるが,全区間アンボンド化した芯材を用いることは,施工を煩雑にするとともにコスト増にもつながる.そこで丸鋼を特別なアンボンド処理をすることなく埋め込み,コンクリートとの付着剥離時期を制御することにより大変形域での二次剛性を発揮できる,新たな付着剥離型UBRC構造を提案した. ・付着剥離芯材を用いたUBRC構造の変形特性を把握するため,PC丸鋼を付着剥離芯材として用い,全区間アンボンド,全区間付着剥離部および基部1D区間のみを付着剥離部とした3つの供試体を作成し,正負交番載荷実験を実施した.結果,付着剥離芯材として丸鋼を用いると,橋脚の変形に伴い芯材とコンクリートとの付着が切れ,大変形領域においては,そのひずみが全長に渡り平滑化されることを確認した. ・付着剥離型UBRC構造は,小変形域ではRC構造として振る舞い,大変形領域ではUBRC構造へと変化することで安定した二次剛性が期待できることが明らかとなった.芯材の付着剥離前には耐力向上効果が期待でき,付着剥離後には完全アンボンド化した芯材を用いたUBRC構造と同じ二次剛性を期待できる.
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