研究分担者 |
堀家 正則 大阪工業大学, 工学部, 助教授 (80221571)
笹谷 勉 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10002148)
工藤 一嘉 東京大学, 地震研究所, 助教授 (50012935)
南雲 秀樹 名古屋大学, 工学研究科, 助手 (20293657)
飛田 潤 名古屋大学, 工学部, 助教授 (90217521)
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研究概要 |
研究の初年度として,次の研究を実施した. 1.全国に展開された基盤強震観測網(KiK-net)に関し,ボーリング孔の深さ,地質性状等を調査した.地盤の増幅特性は地震基盤から捉えることが望ましいため,孔内地震計の設置箇所のS波速度が1500m/s以上の155地点を検討対象に選定した. 2.検討対象地点の地盤および地震データを取得した.地震データは1地点あたり5ヶ以上を収集し,観測波形のS波到着から5秒間を切り取り,フーリエスペクトル解析を実施した.また,地震観測データを用いて,地盤のS波速度およびQ値を最適化した. 3.固有周期5秒の高感度速度計を整備し,検討対象とした155地点のうち70地点について微動観測を実施し,各地点の微動H/Vスペクトル比を求めた. 4.微動H/Vスペクトル比と地震観測データおよび地盤データに基づく地震増幅特性,表面波の振幅特性を比較し,次の結果を得た. (1)微動H/Vと観測地震データのスペクトル特性,理論のスペクトル特性の卓越周波数はほぼ対応し,微動H/Vのピークが明瞭な場合,少なくとも地盤の卓越周波数を推定できる可能性がある. (2)微動H/Vと地震動H/Vのスペクトル形状は良く対応し,地盤毎の補正によりほぼ一致する. (3)微動H/Vは入射波地震応答H/Vに対応しており,入射地震動の水平動成分に対する地表層の伝達関数,いわゆる地盤の地震増幅特性に対応するものではない.中村の方法が適用できるとした場合は,実際の地盤の地震増幅特性を過小評価する恐れがある. (4)微動H/Vを利用することにより,耐震設計における入力地震動の上下方向加速度スペクトルが推定できる可能性がある.
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