研究課題/領域番号 |
13450188
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松井 繁之 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70029271)
|
研究分担者 |
大西 弘志 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70283728)
水越 睦視 住友大阪セメント セメントコンクリート研究所, 主任研究員
真鍋 英規 (株)富士ピー・エス, 技術部・課長(研究職)
|
キーワード | 道路橋床版片持部 / 異方性度 / 輪荷重走行試験 / 使用限界状態 / 設計曲げモーメント式 |
研究概要 |
道路橋床版片持部に対する合理的な設計法を確立するため、本研究室所有の輪荷重走行試験機を使用して片持版共試体のひび割れ発生に伴う限界状態を創出し、その状態下における断面力分布を調べることが重要である。まず、最初に現有の試験機を使用して試験を実施する上で、試験体設置方法および試験機の破損防止のための検討を行い、試験方法を考案した。実験における対象床版としてはRC床版および橋軸方向PC床版とした。実験により走行荷重による床版片持部の損傷進展状況の確認、走行荷重下におけるひび割れ状態再現が可能となり、設計荷重の20%増の荷重による片持部位での所要走行回数下においてはひび割れ損傷が安定した収束状態、つまり使用限界状態を創出できた。各供試体のこの限界状態におけるたわみ、鉄筋等のひずみ分布から床版断面量の推定を行い、残存剛性の評価および発生断面力の算出を行った。その結果、橋軸直角方向軸に直角な断面(主鉄筋断面)および橋軸に直角な断面(配力鉄筋断面)ともその発生曲げモーメントはコンクリートのひび割れに伴う異方性度に大きく影響されることが確認できた。特に橋軸直角方向軸に直角な断面(主鉄筋断面)においては、異方性度の低下とともに曲げモーメントが増大していく傾向にあり、現行の道路橋示方書設計曲げモーメント式において安全率と衝撃の影響を除いた値と比較した場合には、危険側に移行することが分かった。一方、橋軸に直角な断面(配力鉄筋断面)については、異方性度の低下に伴って発生曲げモーメントが小さくなり安全側に移行する。また、橋軸方向にプレストレスを導入した床版片持部においては、走行荷重による橋軸方向断面の損傷進展が進まず、橋軸直角方向断面においても断面力が低減され損傷発生を抑制する効果があることを明らかにした。以上から、今後の床版片持部設計式には床版の異方性度を考慮することの合理性を明確にした。
|