研究概要 |
限界状態を考慮した道路橋床版片持部における合理的な設計曲げモーメント式を確立することを最終目的にしており、大阪大学所有の輪荷重走行試験機を使用して片持部供試体に対してひび割れ損傷による劣化状態を創出し、限界状態における断面力状態を調べることを供試体を変えて継続して行った。重要であると考えた。平成13年度の研究では片持部供試体に対する輪荷重走行試験方法を決定し、基本形式となるRC床版および橋軸方向にプレストレスを導入したPC床版に対する走行試験を実施した。平成14年度には床版形式の多様化に対応するため、橋軸直角方向にプレストレスを導入したPC床版,トラス型鋼材を有するHPCa床版,鋼・コンクリート合成床版,チャンネル形状プレキャストPC床版に対して走行試験を実施した。試験の結果、床版の構造特性により限界状態に相違が生じ、それに至る断面剛性劣化による異方性度が発生曲げモーメントに与える影響が大きいことを確認した。 都市部高架橋においては、張出部先端に地覆・壁高欄に加えて高遮音壁を設置することで騒音対策を行っている。従って、風荷重の作用面積の増加に伴い、床版片持部の主鉄筋断面に作用する曲げモーメントの負荷も増大することを設計に考慮しなければならない。これまで、風荷重による床版片持部の損傷事例は確認されていないが、風荷重によってひび割れが発生し、断面剛性の低下とそれに伴う断面変化がある。これを上記輪荷重作用と合成して設計に反映する必要がある。そこで本年度の2種の供試体,RC床版および鋼・コンクリート合成床版に対して風荷重を想定した静的載荷試験を実施し、その後輪荷重走行試験を行った。以上の実験成果を基に、各種床版の使用限界状態を考慮した片持部床版の設計方法についてとりまとめた。
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