研究概要 |
平成14年度の研究は,次の2つの課題を行った.(1)損傷模型構造物の制作と超高精度構造同定システムによる損傷の実証実験,(2)超高精度構造同定システムによる実橋における実用化実験,である. 損傷模型構造物として当初RC構造物を想定したが,理論的検討の結果振動数が明確に現れないことが予想されたので,損傷模型構造物として,アルミ骨組構造物とした.5層骨組構造物に弱いばねを取り付けたブレースを各層に設置し,プラスチックの治具をニクロム線の熱で切断する装置を制作した.振動数の変化は,10%以下になるように模型を制作した.振動台の上に模型構造物を設置し,不規則振動させ,振動の途中で,ブレースを切断して,振動数の変化から損傷の逆検出を試みた.振動数の変化は,10%以下になるように模型を制作した.この実験より,振動数の変化が10%以下で検出可能であり,振動数の変化から損傷の検出が可能であることが確認できた. 次に超高精度構造同定システムを現場に持ち出し,長崎市内の斜張橋である浦上歩道橋の,自動計測実験をおこなった.検出器(加速度計・速度計)を設置するだけで,自動的に高精度の振動数の検出が可能であった. 本研究の結論として,振動数変化より構造物の損傷を検出するための超高精度構造同定システムを実現することができた.次に,シミュレーション及び模型構造物より,発生した僅かな損傷を振動数の変化から検出できることを確認した.振動数の変化は10%以下である.超高精度構造同定システムを実橋に適用し,実用化の有効性を確認した.
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