研究課題/領域番号 |
13450192
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
関口 秀雄 京都大学, 防災研究所, 教授 (20027296)
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研究分担者 |
熊谷 隆宏 五洋建設株式会社, 技術研究所, 研究職
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30127138)
山下 隆男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30111983)
小林 俊一 京都大学, 防災研究所, 助手 (10243065)
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キーワード | 液状化 / 波浪エネルギー消散 / 遠心力場波浪実験 / 洗掘 / 海底地盤変状 / 海岸保全 |
研究概要 |
暴波浪来襲に起因した海岸保全構造物まわりの海底地盤変状の予測を可能とするために、波浪による砂質地盤の液状化の進展過程、液状化土層における凝固・高密度過程および波浪エネルギー消散特性に着目した研究を行なった。 1.緩詰め砂質地盤内の液状化の発生から進展、そして凝固に至る過程を再現できる提案モデルを拡張し、液状化土の凝固にともなう地盤の有限変形を表現できるようにした。解析対象領域は、上位から外部流体域液状化領域、凝固領域で構成される。液状化領域の最下層に、僅かな剛性を持つ遷移境界層を導入している。その上端が凝固フロントである。凝固フロントより上位の液状化領域は高密度完全流体と仮定し、外部流体とあわせて二層流体の波浪伝播理論を適用する。遷移層と凝固領域は弾塑性土としてモデル化し、凝固フロントの位置の変化は、二層流体域と弾塑性土領域の支配方程式を連立することにより求める。 2.本予測モデルでは、液状化土のエネルギー消散は、液状化最下層に存在する遷移境界層でのみ生じる。遷移境界層内で消費可能なエネルギー量を具体的に評価し、既往の実験結果(高橋ら,1994)で観察された液状化土全体のエネルギー消散量と比較したところ、その大きさを十分に再現できることが明らかとなった。さらに、波浪エネルギー消散率が顕著になるのは、液状化土が凝固し始める状態、すなわち僅かに剛性を回復した状態に対応することを明らかにした。 3.本理論モデルによると、凝固フロントは高密度化フロントとして上昇し、それと連動した沈降過程により、凝固フロント直下に過渡的に一種の上澄み液が生じる。この上澄み流体層は、凝固フロントより上位の液状化土(高密度流体)と密度不安定の関係になり、遷移境界層近傍で著しい拡散・混合現象の生じることが予想される。現在、このような水底面を通じた環境物質輸送を含めた粒子移動過程の詳細観察を実施中である。
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