研究分担者 |
熊谷 隆宏 五洋建設株式会社, 技術研究所, 係長
間瀬 肇 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30127138)
山下 隆男 京都大学, 防災研究所, 助教授 (30111983)
小林 俊一 京都大学, 工学研究科, 助手 (10243065)
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研究概要 |
本年度に実施した研究の主要な成果は次のとおりである。 1.砂質地盤の液状化抵抗に及ぼす波浪負荷履歴の影響を、数理モデルと遠心力場波浪実験を通じて明らかにした.すなわち、液状化土が波浪負荷中に凝固を経験した領域では高密度化により、再液状化に関する抵抗が著しく増大する.一方、凝固過程を経験せず静穏環境下で圧密した領域では、液状化抵抗の改善度は小さく、波浪負荷によって容易に再液状化が生じる。 2.堆積物の水中重力流れは、傾斜海底地盤での漂砂過程をはじめ、航路埋積や海底パイプラインの損傷災害など、沿岸域防災の面からも重要である.本研究では、砂質堆積物の液状化にともなう高濃度重力流れの発達から停止に至る一連の過程を予測し得る解析コードを開発した.その要点は,堆積物全体を流れ領域(液状化域)と凝固領域で構成し,ナビエ・ストークス式と弾塑性圧密式の2相系で定式化していること,両式を結ぶために流れ領域と凝固領域の間に,有効応力はゼロであるが僅かに剛性を持つ遷移境界層を導入し,液状化土の進行性凝固過程を表現し得るようにしていることである. 3.堆積物の水中重力流れ再現水槽を作成し、重力流れ発生前の地盤の状態と体積濃度を制御した一連の実験を行なった。流況の観測にはマクロレンズを搭載した高速度カメラを用い、得られた画像情報にPIV(particle image velocimetry)を適用することにより、高濃度重力流れ内部で発達する流動化土(fluidized soil)の進行性凝固過程と,浮遊砂状態から発生した低濃度重力流れの内部で起こる沈降・堆積過程の違いを明らかにした。さらに、高濃度重力流れの実験シリーズにおいて観測された流れの停止機構は,研究代表者らの提案する進行性凝固モデルによる予測結果と調和的であることを示した.
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