電磁式振動台を用いた飽和砂斜面の模型実験により、シルトシームを挟んだ斜面では、入力加速度が適度に小さいとき振動中は全く変形が起きず、振動終了後に大きな流動が起き、結果的には加速度が大きな場合より流動変形量が大きくなることがあることが分かり、砂の不均質性が流動に及ぼす影響の大きさが示された。 また、流動の時刻歴からエネルギーの算定によりシーム直下の滑り面で発揮されるせん断抵抗を計算し、シーム直下に形成される水膜を通過しているにもかかわらず、抵抗は完全にはゼロにならず24%程度までしか低下しないことを明らかにした。その理由は完全には明らかになっていないが、水膜が滑り面全面には連続していないこと、薄い水膜の中で水の粘性抵抗が発揮されていることなどが想定される。 円筒チューブでの水膜生成実験により、複数のシルトシームが挟まった飽和砂層での水膜の生成、消滅過程を測定し、各シームについては一枚のシームの場合と定性的には同じことが起きることを明らかにした。 中空ねじりせん断試験を用いた水膜の生成過程の再現実験により、複数の水平なシルトシームを含んだ供試体はシームを含まない砂やシームを柱状に含んだ供試体に比べ液状化強度が明らかに低下し、液状化後の流動変位も大きくなることを明らかにした。 以前の研究で明らかにしたように、自然地盤の砂は成層構造をなしており、不均質性が高い。したがって以上の研究結果に基づけば、液状化した地盤の砂の流動変位量は従来の均質な砂による実験結果よりはるかに大きな値となる可能性が大きいことが分かった。
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