研究課題/領域番号 |
13450204
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
入江 功 九州大学, 工学研究院, 教授 (10213258)
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研究分担者 |
富樫 宏由 長崎大学, 工学部, 教授 (20005333)
渡辺 訓甫 佐賀大学, 理工学部, 教授 (10037955)
井上 徹教 九州大学, 工学研究院, 助手 (70311850)
村上 和男 産業技術総合研究所, 海洋資源環境研究部門, グループ長(研究職)
櫨田 操 日本文理大学, 工学部, 教授 (70131969)
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キーワード | 環境破壊 / ミティゲーション / 物理的環境度 / 生物化学的環境度 / 環境破壊脆性 / 環境度座標系図 / 生態系モデル / 水質底質調査分析 |
研究概要 |
九州地区沿岸は、地形や潮汐などの自然的条件が地域的に極めて複雑である。海上空港や海上都市など、陸域に確保できない空間を海上に求めたり、港湾施設などを拡張することのニーズは、今後とも続くものと思われる。その場合、開発行為によるインパクトに環境が敏感に反応し急激に環境劣化が始まる海域や、それによるインパクトにそれほどされない海域が存在する。この環境変化を受ける難易度を「環境破壊脆性」という新しい言葉で表わし、それが如何なる要素に支配されているかを環境に係わる資料収集、不足資料の現地調査収集、要素寄与度の感度分析のための数値計算により明らかにするのが本研究の目的である。 海域環境については、特に湾域において、これまでにかなりの調査がなされ、各自治体に相当の蓄積が見られるが、外洋に面する海岸や比較的開口度の大きい海岸では、調査実施例が一般に非常に少ない。そこで本年度は、福岡県、佐賀県、長崎県、大分県、宮崎県、鹿児島県の各県の代表海域で、一定の仕様のもとに環境調査を実施した。すなわち、水質調査としては、汀線部、沖合部でそれぞれ1測点、を各県2海域とし、調査項目は、透明度、水温、塩分、水素イオン濃度、溶存酸素量(DO)、化学的酸素要求量(COD),全窒素、全燐、浮遊物質量(SS)である。底質調査としては、汀線部・沖合部で各3測点とし、その分析項目は、COD,強熱減量、全硫化物、全窒素、全りん、粒度組成である。底生生物調査としては、1海域2測点を2海域として、生物の種類数、個体数を調べた。海域の生物調査では、各県で1海域あたり1測点の2海域とし、植物プランクトンを中層から、動物プランクトンについては海底上から表層までを調査した。このような作業を、平成13年の10月〜12月に行なった。 さらに、環境破壊脆性を把握するための環境調査法、如何にすれば所定の目的が達成されるかについて、平成13年6月、7月末、12月に、研究代表者・研究分担者が全員一同に会して討議を行なった。その結果、環境破壊脆性を総合的に評価するための環境座標図にも、一つの可能性があることが理解され、博多湾のアイランドシティーの場合を例に環境座標図の表示の試みが為された。 海域に対する開発インパクトに対する環境変化感度分析のための海域環境シミュレーションモデルについては、既往の研究例の情報収集、モデル構築法について検討し、環境問題について代表的な海域である有明海について構築することを決めた。平成14年度には、前年度に実施した環境調査結果をベースに、環境破壊脆性の総合評価法についての手法づくり目指す。
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