研究概要 |
昨年度の研究において,空間分解能10cm,30cm,時間分解能1/30sの実動画像に対し,時空間クラスタリング法を開発し,一定の成果を得ている。本年度は,特に車両挙動の3次元復元に焦点を絞り,下記の開発を行った。 1.高高度撮影単ビデオカメラによる3次元位置計測 画像処理において得られる車両位置は,画素単位のものである。しかしながら,実際に交通分析を行う際には実距離での測定が必要となる。実3次元空間での車両位置を求める手法として,ステレオ画像を取得する方法と撮影対象が平面である制約を課す方法の2つが考えられる。しかしながら,高高度撮影において,そのような条件を満足させることは困難である。そこで,道路を静止物体とし,車両はその道路上を移動すると仮定することにより,実3次元空間において車両位置を同定する枠組みを構築した。まず,基準フレームと異なる視点からの画像を事前に取得することにより,道路空間の3次元モデルを構築する。その他のフレームは幾何補正により,基準フレームに位置合わせを行う。これにより,道路上の任意の地点での3次元座標が推定でき,道路上を移動する車両の位置も推定可能となる。 2.低高度撮影ステレオカメラによる3次元位置計測 局所的により詳細な車両挙動を観測する場合には,低高度撮影による観測が有用である。従来から,複数ビデオカメラからの3次元復元手法が提案されているが,カメラ数や配置が自由に扱える状況を前提としていた。しかしながら,実際の交通観測では,歩道橋上等,撮影環境の制約条件が厳しく,従来手法を適用することは困難である。そこで,視体積交差法を基礎手法とし,車両の形状制約を導入することで,十分に視差がない状況での3次元復元手法を開発した。
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