研究概要 |
本年度は,車検制度や補助金制度が自動車取り替え更新行動に及ぼす影響の把握,及び電気自動車の共同利用システムの効率的な運営方法に関する分析を行った. 車検制度と補助金制度については,フランスの自動車取り替え更新行動を対象とした分析を行い,我が国との比較を試みている.フランスでは,1992年に我が国と同様の車検制度が導入されているが,我が国の車検制度に関する分析結果(山本ら,2001)とは反対に車検制度によって自動車保有期間が長くなるという傾向が見られた.これは,車検に要する費用の違いによるものと考えられた.また,1994年から96年には中古車の廃棄を供なう買い替えに対する補助金制度が実施されており,買い替え促進に対する影響をモデル構築により定量的に明らかにした. 一方,電気自動車の共同利用システムの効率的な運営方法に関しては,平成12年の秋より実験が開始された京都パブリックカーシステムを対象とした分析を行った.このシステムは複数の駐車場を持つため,特定の駐車場に車両が集中するなどの問題があり,それを効率的に運営するためには車両・駐車スペースの配置をはじめとする多数の様々な変数を最適な値に設定する必要がある.本研究では遺伝的アルゴリズムを用いて諸変数の最適化を行い,その効率的な運営について考察した.結果として,車両数の約2倍弱の駐車スペースが必要であることや新規に駐車場を開設することは必ずしも運営効率を上げるとは限らないことなどが明らかとなった. 参考文献 山本俊行,北村隆,藤井宏明:車検制度が世帯の自動車取り替え更新行動に及ぼす影響の分析,土木学会論文集,No.667/IV-50,pp.137-146,2001.
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