研究概要 |
1.γ線のC. parvumオーシスト不活性効果の感染ならびに脱嚢による定量 精製オーシスト懸濁液(オーシストをリン酸塩緩衝精製水懸濁)に20℃でγ線を照射し、強度免疫不全マウス(SCID,6週齢)を使用したMPN法(糞便へのオーシスト排出の有無)により感染性を、改良Woodmanseeスポロゾイト計数法(脱嚢前に酸処理を付加)により脱嚢能力を調べ、γ線の不活化力を評価した。マウス感染性で評価したときの2log_<10>不活化線量は92Gyであったのに対し、脱嚢では約13,000Gyであった。このように、オーシストに少量のγ線を照射すると、紫外線消毒の場合と同様、生きているが感染症は既に喪失している状態のオーシストが多量に生成されることが明らかになった。 2.γ線の不活化力に及ぼす水温の影響 2log_<10>不活化線量は7,20,30℃でそれぞれ98,92および88Gyとなり,水温が10℃降下した場合の必要線量の増加はわずか5%にすぎなかった。このことから、水温は実質上、不活化効果に影響を及ぼさないと考えてよいことが明らかになった。 3.培養細胞を用いたC. parvumの細胞感染性評価手法(平成13年度課題の継続) HCT-8細胞を宿主細胞とするMPN法をおおむね確立した。その方法は次のとおりである。 前処理としてオーシストを約5,000mg/Lの塩素に4℃で5min接触して遠心洗浄する。これを、コンフルーエント約70%のHCT-8セルシートに接種して、脱嚢ならびにスポロゾイトのHCT-8へ侵入・感染を生じさせる(2時間)。洗浄したのち新たな培養液を添加して46時間培養する。培養後、「3個以上の蛍光粒子から構成されるクラスターが少なくとも1個存在するもの」を感染陽性と判定する。
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