研究分担者 |
木村 正彦 東急建設, 建設エンジニアリング部, 研究職
清家 剛 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究, 助教授 (60236065)
大橋 好光 熊本県立大学, 環境共生学部, 助教授 (70160603)
藤田 香織 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 講師 (20322349)
田中 禎彦 文部科学省文化庁, 建造物課, 文部技官
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研究概要 |
伝統的木造構法による五重塔は耐震性に優れているといわれるがこれは過去の地震による倒壊の記録がないためである.五重塔は組物が多用されており,この部分が建物全体の耐震性能に貢献していると考えられてきたが定量的に明らかにはされていない.そこで,本年度は伝統的木造構法五重塔を対象としてその振動特性を把握した.まず,現存する国宝・重要文化財建造物の塔婆建築(五重塔、三重塔、多宝塔など)125基のうち、五重塔は25基(うち国宝13基)である。これらのうち,屋内にある五重小塔(3基)を除外した22基について,建設年・構造形式・修理履歴・地盤条件・被災記録・水平力抵抗要素に関する詳細な検討を行った.この結果,現存する五重塔の約7割は洪積層に立地している,7回の地震で5塔の五重塔に被害の記録がある,被害の内容は相輪付近に集中していることが明らかになった.更に,歴史地震史料から木造層塔建築の被害の記録を拾い出したところ,23件の被害記録が確認でき,その内容は:倒壊(3割),破損(2割),傾斜(1割),部分被害(4割)に分類できた. 更に,池上本門寺五重塔・津観音五重塔・永明院五重塔で常時微動測定及び人力加振試験を行い,建物の基本的な振動特性を明らかにした.実験及び解析結果をシンポジウムで口頭発表を行った.五重塔建築の耐震性に深く影響していると考えられる構造要素である組物について、過去に行った振動台実験及び静加力試験の結果を基に理論的なモデル化をおこない,地震応答解析を行い,実験結果を理諭的に再現することが可能になった.
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