研究課題/領域番号 |
13450229
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩田 衛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50322532)
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研究分担者 |
山田 哲 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (60230455)
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キーワード | 鉄骨構造 / 長寿命化 / 解析 / 柱梁接合部 / 座屈拘束ブレース / サステナブル / 半剛接合 / 実験 |
研究概要 |
鉄骨構造の長寿命化を図るため、昨年度の研究で考案した構法について、実際に成立するかを設定した評価軸によって詳細に検証を行った。解析モデルとしては、柱脚、柱梁接合部をピンとし、座屈拘束ブレースを用いる損傷制御設計の鉄骨構造中層集合住宅について、従来の同規模中層ビル構造を設計する際に用いられている柱、梁の部材サイズを基本タイプにして、サイズを落としていく5つのモデルについて検証した。その結果以下のようなことが分かった。 1)静的解析で成立した中で、柱にH-488×300×11×18、梁にH-340×250×9×14を用いたNo.4モデルが最も軽量であり、従来のラーメン構造であるモデルに比べて、29%総重量が削減でき、主架構に生じる応力も少ない。 2)ブレースは断面積が1300mm^2のとき、1次設計で塑性化が少し始まっている。このとき、2次設計では効率よくエネルギーを吸収している。 3)動的解析において、No.4モデルが地動最大速度0.5m/sの大地震を受けても、ブレースのみが塑性化し、エネルギーを吸収することにより、柱梁は損傷を受けない。 4)残留変形は極めて小さい値となり、制振構造として有効な挙動を示していたといえる。 以上の結果より、No.4モデルの骨組で、断面積が1300mm^2のブレースを用いた構造物は、大地震が起こってもブレースのみを点検・補修し、必要に応じて取り替えることにより、継続的に使用できる。また、接合部がピンであり、解体が容易なのでリユース、リサイクルにむいている。よってこの構造物は、サステナブルなシステム構造体といえる。 次に、巨大地震時の応答を検証するため、EL centro NS波による動的解析を行った。この結果から、大地震後も建物を継続して使用するためには、柱梁接合部を回転ばね剛性を持たせる半剛接合として、残留変形角を小さくすることが有効であることが分かり、鋼棒を用いて柱と梁を接合する柱梁接合部の実験を行ない、その有効性を確認した。
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