研究課題/領域番号 |
13450229
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
岩田 衛 神奈川大学, 工学部, 教授 (50322532)
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研究分担者 |
山田 哲 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (60230455)
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キーワード | 鉄骨構造 / ライフサイクル / リユース / 柱梁接合部 / 座屈拘束ブレース / サステナブル / 損傷制御構造 / 実大実験 |
研究概要 |
建築鉄骨構造のライフサイクルにおける環境負荷削減のシナリオとその評価を廃棄物重量とLCCO_2に着目して定量的に分析した。この結果から、建築構造の耐用年数を100〜150年程度にすると大幅な環境負荷低減ができること、それが叶わない場合には、CO_2排出量の観点から、鉄骨部材をリサイクルするのではなく、リユースするべきであることを明らかにした。 これらの研究成果を踏まえ、構造全体の長寿命化を第一に、それが叶わない時には部材のリユースを可能とする「サステナブルビル構造システム」の実現を図ることを提案した。この構造システムは、劣化した各部材、部品を取替えることにより、構造全体の持続性を図り、必要に際しては解体が容易で、リユースができる部材によって構成される損傷制御構造の一つの形式とする。すなわち、重力を支持する柱梁からなる主架構を、たとえ大地震を受けても弾性域に留め、地震力を負担する制振部材のみに損傷を集約する。着想した構造システムの柱梁接合部には、大きな曲げモーメントが生じない新接合方法を採用し、柱と梁に制振部材としての座屈拘束ブレースを方杖のように設置する。 着想した接合方法は全く新しい特徴と応力伝達機構を有するものであり、この新柱梁接合方法の性能確認実験を行い、構造特性を把握した。これらの実験結果を踏まえ、接合部の力学モデルを検討し、更に、既往の研究で性能が明らかにされている座屈拘束ブレースと、新接合方法が組み合わされた時の基本的挙動を確認するために、部分架構実験を行った。また、接合部力学モデルを用いた全体構造モデルの解析を行い、サステナブルビル構造システムの成立について検証を行った。 以下に得られた結論を記す。 1)建築構造の長寿命化と部材のリユースを考慮したサステナブルビル構造システムの成立が可能である。 2)この構造システムは損傷制御構造であり、従来型の純ラーメン構造と同等以上の構造性能を有する。 3)この構造システムを用いると従来構法に比べて使用鋼材量を抑えることができる。 4)この構造システムの柱梁接合方法は、第1段階から第3段階の剛性変化する力学特性を有する。
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