研究概要 |
本年度は初年度に引き続き,各種用途の建物における使用水量・湯量の把握・解析と負荷算定法の基本事項の検討をした。計測は,初年度と同様に電子式水道メータを既存配管に設置し,単位流量ごとに発信されるパルス信号を,また,使用量と対応させる各器具の使用実態については,器具周りに設置した各種の人感センサーからの信号をそれぞれロガーに記録している。具体的には以下のとおりである。 1)食堂・レストランなどの業務用厨房を対象に使用水量・湯量の測定を初年度より継続して進めた。比較的限定されたメニューが大量に出食される大学学生食堂3棟および単一メニューで調理と洗浄が時間的に完全に分離する学校給食施設2棟は,年間各期の解析を目的に,初年度から継続して測定し当初予定のデータ収集を完了して,来客者数や出食数等と併せて解析作業を進めた。複合商業施設内にある一般的な食堂・レストラン(店舗数21)については,使用水量の測定と顧客の動向を含めた使用実態調査を4月より1年間にわたり実施し,使用水量と来客者数の関連分析,および業態による水使用発生負荷のパターン化を試みた。 2)事務所ビルにおいては,初年度末より測定を開始している1棟を含め,使用水量・湯量について広島市内の3棟を対象に測定を進めた。大・小便,手洗い等の器具使用実態は人感センサーを用いて分単位でデータの蓄積をしている。また,ビル内の社員食堂2店舗の使用水量・湯量の測定も同様に行っている。なお,前年度からの1棟は今年度で完了し,他の2棟は次年度まで継続する予定である。 3)集合住宅については,既存蓄積データのもとに,給水温度の差異による水と湯使用の関連分析と併せて,負荷算定法に関わる要因の検討をシミュレーションにより進めた。 4)算定法の基本条件検討のため,データ蓄積のある駅舎トイレを対象に,確率的手法と乱数シミュレーションによって秒単位の負荷量の算定結果を比較した。
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