研究概要 |
3年間に渡る最終年度として,瞬時・時間・日といった一連の時系列負荷を統一的に算定することを目的に,モンテカルロ・シミュレーション手法を用いた負荷算定モデルを開発し,以下に示す各建物用途に適用して,その有用性を検証した。 1.集合住宅における給水・給湯負荷の算定 単身・独身寮,集合住宅における使用水量・湯量の測定・解析結果をもとに,住宅における給水・給湯負荷算定モデルとして,水・湯使用器具ごとに負荷予測を行う用途別モデルと,1住戸を単位とした住戸ユニットモデルを作成し,モデルの妥当性を検討した。 2.事務所ビルにおける使用水量・湯量と器具利用に関する解析および給水負荷の算定 広島市内の事務所ビル2棟の男子・女子便所,湯沸し室,社員食堂を対象に,量水器や人感センサーを用いた使用水量・湯量,トイレ利用頻度の測定と,調査員の目視による在階人数調査を行った。衛生器具の使われ方について解析を行い,事務所ビル内トイレにおける給水負荷算定モデルを作成し,本算定法の適用性を示した。 3.駅舎トイレにおける給水負荷の算定 乗降者数,トイレ利用者数,器具使用者数の関連を明らかにし,事務所ビルと同様に給水負荷算定モデルを作成し,給水負荷の予測を行った。特に,駅舎トイレでは器具の集中利用現象が発生するため,利用者の待ち状況と負荷の関連についても検討を加えた。 4.飲食店舗における使用水量・湯量に関する解析および給水負荷の算定 大学食堂,レストラン等における使用水量実測データをもとに,店舗属性,来客者数の関連分析,水使用パターンの類型化を行った。飲食店舗の厨房ユニットモデルを作成し,本算定法の広範な有用性を示した。また,給湯量について冬期から測定を開始し,水と湯の関連について解析を進めた。 5.国内外の学会発表 上記の研究成果について国内外の学会等で発表し,専門分野の研究者から意見を求めた。
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